介護の苦労
どの病気にかかっても、病気にならずとも高齢になればなるほど、体力は落ち最後の時が近づくにつれて活動量は減り、寝たきりに近い状態になります。大半は「介護」を受けて生活をすることがほとんどです。
「介護」と聞いて何をイメージするでしょうか。
寝たきりになった人の世話、と考える方が多いのではないかと思います。大きく介護とまとめられていますが、介護には食事の準備と摂取、入浴、排泄、服薬・点眼、整容、リハビリ、通院、体位変換(寝返り)といった様々な介助があります。病気の進行程度や体力によって介護のレベルは異なりますが、症状が重くなるほど介護のレベルは高くなります。施設に入れて介護士にお任せするという方もおられますが、症状がまだ軽度であったり、施設に入れるのは可哀想だと思われて、ご自宅で主にご家族が介護を引き受けていると場合が多いようです。
過酷な自宅介護
ご家族が自宅で介護をするということは、施設に係る費用の削減にもなりますしご本人の希望に合わせたケアが叶えられるというメリットがあります。しかし、実際の家族間介護は生易しいものではありません。介護に関する知識がほとんどない状態から、日常の世話を行うことは大変負担になります。何でも言い合える気の置けない家族だからこそ、介護を受けるご本人の希望がいつしかわがままに変わっていき、介護する側の家族はストレスが溜まってしまいます。ご本人も、徐々に自分でできることが少なくなっていったり、思うように体が動かなくなったりすることでのストレスもあり、家族へ八つ当たりすることもあります。このようなストレスの積み重ねから、身体的・精神的・性的虐待を引き起こしてしまい、最悪の場合には殺めてしまう事件も発生しています。
また、介護をするご家族に兄弟がおられる場合はトラブルによく発展します。自分ばかりが介護している、押し付けられているといった思いから兄弟間の不和へつながってしまうのでしょう。
認知症介護の脅威
認知症介護では特に、認知症特有の幻覚・妄想・暴言・暴力・徘徊といった症状から介護のハードルは高くなります。突然「あなたがお金を盗った!」といった妄想をしたり、行方が分からなくなって探したり・・・病気のせいだと頭では分かっていても、毎日何度も同じことの繰り返しとなると、介護する側も疲弊してしまいます。
「施設を利用することは、親(要介護者)を見捨てることだ」と思う方も少なからずいますが、家族で支えてあげたいが施設に入所させる選択をとらざるを得ない状況や環境も当然に考えられます。論理よりも現実問題に目を向けるべきです。
いつかは誰しもが介護を受ける身になります。
介護に関するトラブルを防ぐためにも、一度ご本人、ご家族と話し合いましょう。