耳が遠くなってきた…老化？

老化？耳が聞こえない。

　耳が聞こえなくなった、相手が何て言っているのか聞きづらいといった、お年寄りに起きやすい耳の病気。

　それは老人性（加齢性）難聴です。

　難聴にはいくつか分類がありますが、一般的に加齢により徐々に聞こえが悪くなる難聴は、老人性難聴と呼ばれます。老人性難聴の特徴は、高音域が聞き取りにくく低音域は比較的聞こえます。「ヒソヒソ話はよく聞こえる」という現象はこのことです。これは残念ながら不可逆的な病気のため、投薬をして聴力が改善するということはありません。

　高齢者は、高音域が聴こえにくくなることに加えて、語音弁別能の低下、つまり、言葉を聴き取る能力も低下すると言われています。「音が聞こえにくくなること」と「言葉をうまく聞き取れないこと」が、精神的ストレスを与え、不安や抑うつ状態に陥る危険性があると言われています。

老人性難聴の原因

　なぜ老人性難聴になるのでしょうか。

　加齢によって細胞の衰えによって徐々に聴力が低下することが基本ですが、騒音環境に身を置いていた方、生活習慣病がある方は進行しやすいと言われています。

　65歳以上の高齢者の4分の1以上の人が老人性難聴を抱えている（男性の割合が高い）とされており、もはや耳が聞こえにくいのは当然のことと受け止められ、聞こえにくさを放置される方が多いことが現実です。

「聞こえない」が生む負の連鎖

　耳が聞こえにくいと、コミュニケーションが取れません。相手が何を言っているのか聞き取りにくいから何度も聞き返す、聞き返すことが失礼になるから聞こえたフリをして返事をする、こういったことを繰り返していくと人間関係の不和に繋がる可能性があります。警報やアラームに気づかず、災害に巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。さらに耳の聞こえにくさが進行すると、コミュニケーションが取れず引きこもりがちになったり、周囲の音という外的刺激が著しく低下するため認知力の低下につながったりして社会から孤立してしまうきっかけになりかねません。

聴力低下の予防と進行の遅延