遺産分割方法のひとつ 代償分割
代償分割は、不動産を相続する際に用いられる不動産の分割方法のことで、3種類ある分割方法の中でも、仕組みがわかりやすく手続きが比較的シンプルな分割方法です。
ここでは「代償分割」のメリットやデメリット、そして注意点をまとめます。
代償分割とは
代償分割とは、相続する不動産の価値を算出して、各相続人に見合った金額を代表者が現金で支払うという方法です。
代表者を1名選出することで分割協議もまとまりやすくなり、相続分の価値を現金で受け取ることができることも大きなメリットです。
代償分割のメリット
不動産の相続に公平性を保つことができる
代償分割は、不動産そのものではなく不動産の『資産価値』を分割するものです。
土地というのは、接道しているか整地しているかなどの条件によって価値が変動します。
なので、現物分割をしてしまうとそれぞれの土地に価値の差が生まれてしまうので、これがトラブルの元になるのです。
その点、代償分割は代表者1名が土地の資産価値を現金にして、ほかの相続人に分配された不動産価値分の現金を譲渡するという方法なので、公平性を保って相続を行うことができます。
相続した不動産を活用しやすくなる
代償分割は、代表者1名が不動産を相続する形になるので、ほかの相続人に許可を取ったり手続きをお願いする必要がなく、相続した不動産を有効活用することができます。
所得税や相続税を控除できる
換価分割のように、不動産を売却して現金化をしてしまうと、その金額に応じて『譲渡所得税』がかかってしまいます。
長期保有であれば20.315%、短期保有であれば39.63%もの税金が課税されてしまうので、とても大きな負担となります。
ですが、不動産を現金化しない代償分割であれば譲渡所得税が課税されないので、負担を大きく減らすことができます。
代償分割のデメリット
一見するとメリットばかりに見える代償分割ですが、デメリットとなる部分もあります。
いざという時に困らないように、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。
ほかの相続人に渡す財産を用意しなければいけない
代償分割は、不動産の価値に見合うものであれば、現金以外のものでも財産として許可されています。
ですが、ほかの相続人が相続する不動産価値と見合うほどの財産を用意しなければいけないので、そういった財産が無いという人は、代償分割を選択することができません。
不動産の価値を算出する手間がかかる
不動産価値は、相続税の評価額や時価などによって価値が変動します。
そのため、不動産の価値を正確に算出することは難しく、また時間も手間もかかるので、ほかの相続人と意見が分かれてトラブルに発展してしまうことがあります。
まとめ
相続する不動産で収益を得るという目的があるのであれば、代償分割はとても便利な相続方法ですが、すぐに売却するつもりであれば最終的に損をしてしまうこともあります。
現状をきちんと把握して、ほかの相続人としっかりと相談しながら、最適な分割方法を選択してください。