病院での最期

ある元看護師の方からのお話を紹介しています。

 余命宣告を受け病院で亡くなられた方を数多く看てきた看護師が、経験したお話をまとめています。あなたのご家族が突然「死」と対峙したとき、ご本人もご家族も当然に現実が受け止められず慌ててしまいます。しかし今後起こることを事前に知っておけば、すこしでも落ち着いて対処できるのではないでしょうか。

目次

医師の余命宣告から死亡へ

 医師から「もってあと数日だと思います」と残された時間を告げられます。そこから約一週間前後で病状は悪化し、亡くなる人が多いです。急変しない限り、個室へ移動しケアを受けながら最期をむかえるでしょう。医師の許可があればご家族も病院に宿泊し、付き添うことも可能です。

 いよいよ心拍数や体内の酸素の値などが正常値から逸脱する状態になると、亡くなる前兆となるためご家族に連絡し、病院へ来ていただき看取ることになります。

本人にとって心の支えが必要です。できるだけ寄り添ってあげましょう。

死亡確認

 ご家族が無事に到着し付き添うことができれば理想ですが、残念ながら到着が間に合わず故人となってしまわれる場合も少なからずあります。仮に間に合わなかったとしても、配偶者やお子様といったご本人にとってのキーパーソンとなる方々が到着されてから、死亡確認を医師が行います。

 死亡確認後、しばらくは故人とご家族だけの時間を取ってくれます。

「今まで頑張ってきたね」「これからはゆっくり休めるね」などご家族が声かけをされながら、故人の頑張りを讃えつつ、死を受け止める時間をもちましょう。

エンゼルケア

 看護師より『エンゼルケア』と呼ばれる身支度を行います。

 大人数は難しいですが、ご家族も希望されればエンゼルケアに参加することは可能です。エンゼルケアの内容は、体を温かいタオルで拭いたり、薄化粧をして顔色を良く見せたりします。

 ご家族には別れの悲しみも絶えないなかではありますが、エンゼルケア中に葬儀社に連絡を行ってもらい、病院までお迎えを依頼することになります。病院や亡くなる時間帯によって対応は様々ではありますが、入院されていた個室からお迎えの車に移動する場合や、一度霊安室を経由してお迎えの車に移動する場合もあります。

死を受け入れつつ、葬儀社へのご連絡は必要です。

病院から葬儀社へ

 病院を葬儀社の車で出発されるまでに、医師から死亡診断書を受け取ります。これは故人となったことを証明し、年金受給の停止など法的な処理をするときに必要なものですので、失くさないようにしましょう。また、病院にご家族も戻られることはないので、病室に忘れ物がないように片付けなければなりません。

 死亡確認から葬儀社の車で出発するまで、日中であれば約2-3時間、夜間であればご家族や葬儀社との連絡が取れにくいこともあり約5時間程度かかります。

 大学病院などでは、故人が珍しい疾患や病態であった場合、今後の医学発展のために死後に解剖をさせていただくことがあります。解剖については、生前に病状説明の際に医師からご本人やご家族に依頼されたり、死後にご家族へ許可を取ったりします。解剖は死亡確認後に行い、その後エンゼルケアとなります。解剖にかかる時間分だけ、病院からの出発は遅くなりますので、その点は葬儀社の方へも出発できそうな目安の時間を伝えておきましょう。

死亡診断書は、大切に保管しておきましょう。

看取る日が近いと分かったら…

  • 亡くなるまでの間に、会わせておきたい人へ連絡をする
  • 葬儀社をどこに依頼するのか検討する
  • 棺に入れるときに着せる服、私物の準備を行なう
  • 泊まり込みで付き添う場合は、泊まる準備を行なう

 これらは最低限準備しておきましょう。

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